最近、日本からオランダへ移住されるご家族も多く、海外での教育についてよく耳にします。オランダ在住組である我が家の経験を書いておきます。

息子は現在小学校2年生です。オランダではモンテッソーリの小学校に通い、土曜日にはアムステルダム日本語補習校にも行ってます。

オランダのモンテッソーリ小学校(現地校)は、入学式もなく、校歌もありません。私が現地校の校長先生の顔を見たのは息子が入学してから4年も経ってからです。女性の校長先生でした。モンテッソーリ校では、音楽の授業も週一回あるかどうか、そして音符を読んだりすることもなく、先生が歌っているのを生徒が聞いて楽しんでいる様子です。今月はアムステルダムでKinder muziek week(子供のための音楽の週)が開催されたため、小学校低学年全員がコンセルトヘボウ小ホールのコンサートを鑑賞しました。私が地元の公会堂に行った経験とは全く違うレベルのコンサートを鑑賞しているのは心底、羨ましいです。アムステルダムはやはり文化のレベルが高いので、学校を頼りにしなくても探せばオペラ劇場やコンセルトヘボウで子供のためのwokshopがたくさん開催されています。また音楽以外にもゴッホ美術館、国立美術館でも子供のためのworkshopがあり、画家の先生に教えてもらう機会があります。参加費は高くて20ユーロ(画材費用含む)安いものだと5ユーロとアムステルダム市が負担してくれているおかげで助かっています。

オランダにはCitoToetsと言われる学力テストがあります。解答はマークシート方式です。一番大変なのは小学校から中学校に上がる時、この点数に寄って決まるそうですが、我が家の場合は、まだ小学校低学年なので、そんなにキリキリすることもありません。モンテッソーリ教育では、日本のようにみんなが同じ教材で同じことを同時に学ぶことはしません。サイコロのようなものがあり、質問したい時は質問用のマークを机の上に示すと先生が来てくれるそうです。

今は、まだ小学校の過程なので何とも言えませんが、一度、我が家に遊びに来たオランダ人の男の子に「今どのグループにいるの?」と訊いたら「グループ4,でも、もうすぐグループ5になるの。なぜかっていうと僕は頭が良いから!」と言われました。確かに進級が早かったり、もう一度、同じ学年を繰り返したりすることが可能なのがモンテッソーリ教育ですが、このように、早く進級する=良い、という観念が無意識に小さな子に植え付けられてしまうのは悲しいです。モンテッソーリ教育は、良いことばかりではなく、その子に合っていれば良いですが、オランダのシステムだとクラス替えも3年に1回、周りのお友達もずっと一緒でトラブルがあった時には厄介なこともあり、実際に転校した例もあります。

我が家は日本語補習校があるおかげで、うまくバランスを保っています。掛け算も補習校で暗記したので、オランダの現地校では他の子よりも暗算が早いそうです。また補習校では道徳の時間もあります。日本の義務教育も一長一短ありますが、人との接し方や礼儀を学校で教えてくれる日本の教育も素晴らしいと思います。

↓モンテッソーリ式掛け算。このように目で見てわかるような計算をしています。日本の九九は九の段までですが、モンテッソーリ式は10×10まであるそうです。

例:ピンクの珠3つ×3=9つ