この一年間で世界中に拡がった新型コロナウイルスをどのように考えるか、は人それぞれと思います。

私は、地球が病気になったイメージをしています。
ヨーロッパが最初にロックダウンに入った頃、空がとても綺麗に見えました。
それまで普通にあった空の旅が困難になり、交通機関も限られていましたので、車の走行も少なくなりました。途端に、急に空気が綺麗になった現象が起きました。
何事にも波があり、良い時期と悪い時期があります。
地球の温暖化が進み、少しずつ汚染が進み、新型コロナウイルスが発生。
大きな目で見れば、地球が少し療養中だった、と思う時期なのかもしれないです。

日本では、新年に入り緊急事態宣言がありましたが、ヨーロッパの場合はロックダウンです。
外国生活も、もう20年以上になりますが、ロックダウンは初めて経験しました。
本当に首相の一言で、翌日から指示された機関、店舗が閉まるのです。
感染が拡大され、学校が休校するかもしれないと言われ、本当にその日の夜にロックダウン宣言になりました。

2020年の3月から始まった1回目のロックダウンの後、5月末にコンセルトヘボウ管弦楽団は少しずつ再開をしました。
その頃は観客数は30人までと限られていて、その30人の中にオランダ国王と女王様もいらっしゃると聞きました。とても栄誉な機会でしたが、本番中もマスクをすることにしました。
コンサートは録画もされましたが、敢えてオランダは安全ではない状態を見てもらうためにもマスクを着用して演奏しました。
この頃は、マスク義務がなかったのでマスクをしていた人はオーケストラの中でも数人でした。
(*オランダでは保健当局RIVM機関が当初から「医療用以外のマスクはウイルスを防ぐのに5-10%しかない」という声明を出した為に、マスク着用義務開始が遅れ、9か月経った2020年12月からマスク義務開始)

国王と王女様はマスクをするのかしないのか、自分の演奏よりドキドキして登場を待ちました。二階席に現れた両陛下は、マスク無しの登場でした。
人前に出る人物はマスクをするべきでないのか、と一瞬思いましたが、これは違いました。
「マスクはしなくて大丈夫」というオランダ国民に見せるためにも国を代表する人物は真っ先にマスクをするべきだと思うのです。
そして、その後も旅行は推奨されるべきでない時期に国王家族がギリシャへ旅行に行き、オランダ国民より大反感を買いました。
KLMの副パイロットとしても活躍する素敵な国王と思っていましたが、新型コロナに関しては、甘い感覚を持ち、大変残念な印象になりました。
日本では政治家や政策の批判が多いですが、オランダのルッテ首相は国王と違い、ハッキリとした態度でコロナ政策を行っています。また隣の国のドイツはヨーロッパの中でも、頭一つ抜き出て、立派な政策をしています。オランダのようにマスクに対して間違った見解を出さず、オランダが感染者で集中治療室がいっぱいになった際にはドイツで受け入れをしてくれました。
ドイツのメルケル首相が最初のロックダウンで
「今の時代、手紙を書くことが少なくなりました。おじいちゃん、おばあちゃんに会うのを我慢する代わりに、今考えていることを手紙を書くのはどうでしょうか?郵便はロックダウン中でも止まっていませんから」
というスピーチをしたのが印象に残っています。
メルケル首相の世代はスマホ世代ではないので、こうしたアドバイスは貴重でした。

コンセルトヘボウ管弦楽団では、オーケストラ以外に室内楽や録音をたくさん企画しています。オーケストラの公演やツアーも、かなりの数の公演がキャンセルされました。
その期間中は、同僚との交流がなくなってしまうので、室内楽で音楽を共有でき、録音や録画を目的とするのも良い流れだと思いました。
幸い、私は音楽家で同僚も音楽家のために生演奏を聴く機会が多くあります。
コンサートもオンラインを代わりにして続行していますが、無機質感は否めないと思います。

人との触れ合いが少なくなった分、余計に気を使うことも必要だと思います。
自然に触れてみる、花、水や木の感触を楽しんだり、自分で工作や創作する時間を作り、楽器を自分で演奏したり、無機質なオンライン生活を潤沢にすることも重要だと思います。

近い将来、2020年はマスクして演奏していたな、と思えるような世の中になって欲しいです。