サイトウキネン・オーケストラ(OMF)には丁度ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団に入団した時期から参加させて頂き、プロの音楽家となった時期に小澤先生の下で演奏できたのは本当に幸運でした。

先日もオランダでRシュトラウスの「ドン・キホーテ」そしてコンセルトヘボウで滅多に演奏する機会のなかった「グレの歌」を演奏しました。この両方ともサイトウキネン・オーケストラで取り上げられていて、いつも難曲に挑戦なさる小澤先生の姿勢、そして、Mozartの Divertimentやチャイコフスキーの弦楽セレナーデなど、桐朋学園大学の斉藤秀雄先生の伝統で培った美しい曲を度々小澤先生が指揮なさっていて、弾いていても聞いていても感銘を受けていました。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団に入団して様々な曲を演奏していますが、桐朋学園大学時代やサイトウキネン・オーケストラで演奏した音は身体の芯から出てくる音楽で、ヨーロッパでは経験の出来ない感動的なものがあります。

小澤先生が久しぶりに松本市を訪ねていらして「いやあ、年を取ると涙が出やすくなるんだよね。」と話してみんなが涙した夏を思い出しています。

 

心より小澤征爾さんのご冥福をお祈りいたします。